「世の中」に返る…あるいは、還る。
この話を書くと、たぶん母は少し困った顔をして「そんなつもりじゃなかったのにねぇ。」と言うだろう。
私の名前は美世子(みよこ)。パソコンの変換では「美代子」が一般的で、「世」は少しめずらしい。
世の中の子。小学校に入った頃だったと思う。「あなたは、私たちの子どもだけど、いつか世の中に返す子なんだよ。」と、何度か母から言われた記憶がある。
しかし、子ども時代の私は子ども同士の社会であまりうまくやっていける方ではなかった。人と関わることがとても辛かった時期の方が長かった。
試験ベンキョーはそこそこ出来た。なるべく有名な大学に入って、卒業したら大きな企業に就職、そのままバリバリと勤めながら都会で結婚して子育てもして…という人生をイメージして、大学入った。(本当は両親や祖父母に「入れてもらった」のだが、そんなことも気づかない世間知らずなコムスメだった。)
大学の時、様々な市民活動に参加した。そこで環境教育を仕事にしている人、NPOの世界で生きている人に出会ったことで、生き方と働き方は自分で作っていくことができると気づいた。目からウロコの感覚だった。企業に就職、という将来イメージが急に色あせ、別の生き方を考えはじめた。
あれから10年と少し経った。その間、非営利の組織に就職して環境教育や青少年に関わる仕事をした。その後もう一度学生になり(この時も家族にかなり助けてもらった)、人も地域も、みんないっしょに元気になっていくための仕事づくりにむけて学び直した。
今、私はきっと、世の中に還っているのだと思う。
人とうまく関われなかった子どもは、人のチカラを信じて、人と地域のための仕事をしている。